◎法的調査
建物に関わる遵法性を調査検証するもの。
例えば、当該建築物が違法建築物である場合、将来に渡って流動しにくい物件となることは明白であり、そのような問題がないかを調査検証することとなります。
建築基準法12条に関わる特殊建築物調査、建築設備検査、昇降機点検消防法17条に関わる消防点検、その他述べ面積3000㎡を超える事務所、店舗ビル等の場合は、ビル管法等の適用を受けます。
建築時からの確認書類、引渡し書類の確認も踏まえ現行法との適法性や違法性を調査検証します。
1.関係図書確認調査 |
竣工時図書確認、管理記録確認 |
2.法定調査、検査、点検結果検証 |
◎物理的調査
物理的調査診断は、エンジニアリングレポートの根幹を成すものである為、様々な要素にわたり実施する必要があります。主なものとして次の様になります。
建物に関わる建築的要素と設備的要素全般を様々な手法を用いて物理的調査や環境的調査を実施しエンジニアリングレポートを作成し将来予想される様々なリスクを抽出します。
例えば、構造的な検証、長期的な修繕改修実施時期やその費用の概算算出、土壌汚染や有害物質による汚染の有無を調査することで予測されるリスクを抽出します。
●建築構造診断調査……耐震性能に関わる各調査診断を実施。
1.関連図書確認調査 |
竣工図等における鉄筋サイズ、配筋状況、コンクリート性能等スペックを確認調査。 |
2.X線調査 |
X線を壁面へ照射することにより、実際の鉄筋サイズや配筋状況を検証。 |
3.電磁誘導式鉄筋探査 |
電磁誘導を用いた試験機により、鉄筋からのコンクリート被り厚や鉄筋の配置を確認調査。 |
4.コンクリート圧縮強度試験 |
コンクリートの一部を採取し持ち帰った後、圧縮試験機によりコンクリートサンプルの圧縮強度数値を計測。 |
5.耐震構造計算再算出 |
調査診断結果を踏まえ耐震構造計算を再算出。 |
●建築仕上診断調査……建築仕上に関わる診断調査を実施。
1.関連図書確認調査 |
外壁仕上材、防水材、シーリング材、塗料材等に関わる竣工図書を確認し、スペックを把握。 |
2.建物全般目視診断調査 |
資格者(建築士、法定調査検査資格者、ビルディングドクター等)による建物全般の目視診断調査。 |
3.外壁打診調査 |
外壁診断ロボットや専門知識を持つ人員による限定打診調査。 |
4.コンクリート中性化試験 |
コンクリートの一部を採取し試験薬により中性化することで脆くなるコンクリートの状態を確認。 |
5.タイル、塗膜付着力試験 |
専用試験機によりタイルや塗膜の下地への付着強度を確認検証。 |
6.シーリング物性試験 |
シーリングの一部を採取し持ち帰った後、専用試験機によりシーリングの弾性試験を実施。 |
●建築設備診断調査……建築設備に関わる診断調査を実施。
1.関連図書確認調査 |
各設備に関わる竣工時状況、スペックを確認。 |
2.空調・換気設備診断調査 |
空調・換気設備に関する機器、ダクト、熱源配管等における目視、配管内視鏡調査、超音波診断、X線調査等の実施。設備によりメニュー設定。 |
3.給排水衛生設備診断調査 |
給排水設備、給湯設備等に関する機器、配管等における目視、配管内視鏡調査、超音波診断、X線調査等の実施。設備によりメニュー設定。 |
4.電気設備診断調査 |
電気設備に関する機器、変電、幹線、分電盤等における目視、絶縁測定、容量、非常発電機、非常電源等調査診断の実施。設備によりメニュー設定。 |
5.消防設備診断調査 |
消防設備に関する機器、配管、配線等における目視、超音波診断、X線調査等の実施。設備によりメニュー設定。 |
6.各設備耐震関連診断調査 |
各設備における耐震上要求される事項の診断調査。設備によりメニュー設定。 |
◎経済的調査
各調査結果を基に、長期修繕計画書、再調達価格等を算出し、今後の方針のベースプランを作成。
エンジニアリングレポートを基に、長期修繕計画による長期的修繕実施時期や、そのコスト、同様の建物を再建築した場合の再調達コスト等を算出し最終的な経済的コスト、効果を検証します。
1.長期修繕計画書作成 |
20年~30年ベースの計画書を作成しそのコストを算出。コストは、概算法と積算法に分かれその手法により業務費用は大きく異なります。 |
2.再調達価格算出 |
現建物と同仕様にて再建築する場合の概算を算出。コストは、概算法と積算法に分かれその手法により業務費用は大きく異なります。 |
3.ベースプラン作成 |
再調達価格算出にて検討される事項とその方向性を示し、メリット、デメリットを分析する。コンサルティング費用含みます。 |
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